大いなる無駄

好奇心のおもむくまま、たゆたう日々を。

悪人正機

今週のお題「プレゼントしたい本」

 

本が好きです。

この一冊の中に自分の知らない世界や物語があるのだ、と思うとドキドキします。

自分が生きている間にどのくらいの本に出会えるだろう、世界には溢れるほど本があって絶えず新しい作品が生まれている、とても追いつかないや、でも追いかけたい、そんな気持ちでいる本の虫のひとりです。

 

以前知人と本の話になったときのことです。

彼はバリバリ働くビジネスマンでした。

彼は言うのです。

「役に立つ本が読みたいな」

私は返事に窮してしまいました。

 

「役に立つ」って何だろう。そのフレーズは私にもやもやとした違和感を与えるものでした。

その場は話題が他に移り私の回答は流れてしまいましたが、私の中でその違和感は流しきれないまま、ざらりと残ったのでした。

 

いま、そんな彼にこの本をプレゼントしたいです。

悪人正機」  吉本隆明 糸井重里

 

彼にとって「役に立つ」かはわかりません。

ただ彼の物事の見方に、ちょっと衝撃を与えてくれるのではないかと思います。

私は読んでいて気持ちよくなったので、誰かに勧めたいなと思いました。

人生相談という形をとりながら、テーマごとに吉本さんが語るという形式で、授業を受けているような気持ちで読み進められます。

世間でよしとされていることと真逆のことを言っている件もあり、ハッとする思いにもなりました。

例えば《自己評価よりも下のことだったら、何でもやっていい》という"「素質」ってなんだ?"の章。

自分のことを見かけ以上に偉いみたいなふうに思いこんで振る舞うと上手くいくものじゃない、と。

これには私も思い当たる節があり共感するものでした。

八分目くらいがちょうどいいんです。

100%、120%の力でやろう、やり続けようとするとどこかで無理がきて失敗するんです。

あそびをもたせて八分目。

それは私が公には言えずにいたことだったので、「そう思ってもいいんだ」とお墨付きをもらえたような気分でした。

だって上に向かってがんばってる風にしていたほうが、世間は好意的ですから。

 

まだまだ私は考えてしまいます。

「役に立つ本」ってなんだろう。

とりあえず読まないことには役に立つかどうかはわからないんじゃないかな、と彼に言いたいところです。

この本が彼の「役に立つ」ことを願って。